熱中症対策

年々暑さが厳しくなる夏が近づいています。熱中症には気を付けたいところですが、自覚症状がなく突然頭痛や吐き気、痙攣、意識障害を起こして搬送されるというケースもあります。今回は熱中症対策に用いる基準として利用されている、「暑さ」を表す「暑さ指数(WBGT)」についてご紹介します。

暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)とは?

暑さ指数(WBGT)の計算式

暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)は1954年にアメリカで提案された熱中症を予防することを目的とした指標です。人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目したもので、単位は気温と同じ摂氏度(℃)で表しますが、気温とは異なります。気温、湿度、輻射熱を取り入れた指標で気温よりも効果的に熱中症予防に利用することができます。暑さ指数(WBGT)は乾球温度計、湿球温度計、黒球温度計による計測値を使って計算されます。

実際に感じる暑さは気温のみではなく湿度や輻射熱も大きく関係しています。汗は蒸発する際に身体から熱を奪うため体温を調節する働きがありますが、湿度が高いと蒸発しにくくなるので湿度が高いと暑く感じるのはこのためです。

※1 輻射熱とは、日射しを浴びたときに受ける熱や、地面、建物、人体などから出ている熱です。温度が高い物からはたくさん出ます。
※2 正確には、これら3つに加え、風(気流)も指標に影響します。

暑さ指数(WBGT)の見方や基準は?

暑さ指数(WBGT)は労働環境や運動環境の指針として有効であると認められており、ISO等で国際的に規格化されています。 「日常生活に関する指針」は日本生気象学会から、「熱中症予防運動指針」は(公財)日本スポーツ協会から下記のとおり公表されています。労働環境では世界的にはISO7243、国内ではJIS Z 8504 「WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレスの評価-暑熱環境」として規格化されています。

暑さ指数(WBGT)についてより詳しく知りたい方は「環境省熱中症予防情報サイト (env.go.jp)」をご覧ください。

日常生活に関する指針

暑さ指数
(WBGT)
注意すべき
生活活動の目安
注意事項
危険
(31以上)
すべての生活活動で
おこる危険性
高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。
外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
厳重警戒
(28~31)※1
外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
警戒
(25~28)※2
中等度以上の生活
活動でおこる危険性
運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。
注意
(25未満)
強い生活活動で
おこる危険性
一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.4」(2022)より改編 ※3

※1 28以上31未満
※2 25以上28未満
※3 日本生気象学会の承諾を得て、出典元の「WBGT」を「暑さ指数(WBGT)」とし、
  値を気温(単位は℃)と区別しやすいように、単位のない指数として表記しています

運動に関する指針

気温
(参考)
暑さ指数
(WBGT)
熱中症予防運動指針
35℃以上31以上運動は原則中止特別の場合以外は運動を中止する。
特に子どもの場合には中止すべき。
31~35℃28~31厳重警戒
(激しい運動は中止)
熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。
10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う。
暑さに弱い人※は運動を軽減または中止。
28~31℃25~28警戒
(積極的に休憩)
熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する。
激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。
24~28℃21~25注意
(積極的に水分補給)
熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。
24℃未満21未満ほぼ安全
(適宜水分補給)
通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である。
市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。

(公財)日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2019)より

※暑さに弱い人:体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など

暑さ指数(WBGT)はどこで確認できる?測るには?

暑さ指数(WBGT)は環境省熱中症予防情報サイト (env.go.jp)で全国の暑さ指数の公開や熱中症警戒アラートの発表状況などを確認できます。熱中症警戒アラートは環境省と気象庁が特に警戒が必要な日に発表されるもので、LINEやメールで情報を受け取れるサービスも環境省熱中症予防情報サイト (env.go.jp)から利用できます。登録も簡単ですので利用をお勧めします。

一方で、熱中症予防情報サイトで公開されている情報は、屋外での活動では十分に参考になりますが、職場・家など屋内での活動については独自に計測する必要があります。暑さ指数(WBGT)を測るにはその機能を持った計測器が必要です。様々な製品が発売されていますので、ご利用目的に合わせて製品を選んでください。

弊社で取り扱いできる製品はこちらです↓

固体型色素増感太陽電池 RICOH EH 環境センサーD201/D202


小型の本体に、室内光で稼働する固体型色素増感太陽電池を搭載しているため、コードが不要で場所を選ばずどこにでも設置ができます。計測結果はワイヤレスでスマホやPCで確認できるのが特徴です。

参考:環境省熱中症予防情報サイト (env.go.jp)

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