アルコールチェック義務化とは

2022年4月1日から改正道路交通法施行規則が順次施行されます。運送業や旅客運送業などのいわゆる「緑ナンバー」を対象として義務化されていたアルコール検知器でのチェックですが、2023年12月1日からこれまで対象となっていなかった「白ナンバー」の車を規定の台数以上使用する事業者も対象となります。

アルコール検知器の使用義務化の延期が続いていましたが、2023年12月1日より実施されることが正式に決定しました(2023年8月)

アルコール検知器の使用義務化は無期延期

2022年9月9日、警察庁はアルコール検知器を利用した酒気帯び確認の義務化を当分の間適用しないことを発表しました。

2021年11月10日に公布された「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」では、安全運転管理者の業務として2022年10月1日からアルコール検知器利用した酒気帯び確認の義務化が予定されていました。しかし、検知義務化に伴うアルコール検知器の需要の増加に供給が追い付いていないことなどが認められたため延期に踏み切りました。

ただし、2022年4月1日から始まっている「目視等での確認」「記録の1年間保存」はこれまでと同様に安全運転管理者の業務として実施する必要があります。

2022年4月1日から・運転前後の運転者の酒気を帯びの有無を目視等で確認すること
・酒気帯びを確認した結果を記録し1年間保存すること

<参考>
安全運転管理者制度に関する留意事項について(通達)
⇒令和4年の道路交通法施行規則の改正に係る意見の募集結果

アルコールチェック義務化の対象が拡大された背景

これまで、一定台数以上の自動車を保有し、自動車を使用する事業者は安全運転管理者を配置し、運転前の運転者に対し飲酒により正常な運転をすることができない恐れがあるかどうか確認すること等が義務付けられていました。

しかし、運送事業者が配置しなければならない運行管理者と異なり、運転後の酒気帯びの有無を確認・記録することは義務付けられておらず、またその確認方法についても定められていませんでした。

2011年6月千葉県で発生した交通死亡事故を受け、同年8月4日に決定された「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」において、道路交通法施行規則の一部を改正し、安全運転管理者の行う業務として、アルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等を新たに設けることとなりました。

関連:アルコール検知器使用義務化の歴史

対象となる事業者

2022年4月より、下記のいずれかに該当する企業はアルコールチェックの義務化、および安全運転管理者の配置が必須になります。

バス

乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持

車

白ナンバー車5台以上を保持
※自動二輪車(原動機付自転車を除く)は1台を0.5台として計算。

※業務で使用する車両を台数として計算。

義務化はいつから?

2022年4月1日から順次、安全運転管理者の業務として新たに定められます(道路交通法施行規則 第九条の十第六項 )。「アルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認」は2022年10月1日※2023年12月1日より義務化されますのできちんと準備を行いましょう。

2022年4月1日から・運転前後の運転者の酒気を帯びの有無を目視等で確認すること
・酒気帯びを確認した結果を記録し1年間保存すること
2023年12月1日から・運転前後の運転者の酒気を帯びの有無をアルコール検知器を用いて行うこと
・アルコール検知器を常時有効に保持すること

※延期が続いておりましたが、2023年12月1日より義務化されます

アルコールチェックの方法

アルコールチェックは対面での確認が原則ですが、直行直帰などで困難な場合は運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどしたうえで、次のような対面による確認と同視できるような方法が例として挙げられています。

例1例2
カメラ・モニター等によって安全運転管理者が、運転者の顔色、応答の声の調子等とともに検知器による測定結果を確認する方法携帯電話・業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法

アルコールチェックの記録について

アルコールチェックの確認した結果は1年間保存する必要があります。また、記録すべき内容や実施するタイミングなどの留意点を把握しておきましょう。

記録のタイミング

必ず運転の直前、直後である必要はなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、および終了後や退勤時に行うことで足りる

記録する内容

・確認者名
・運転者名
・運転者の行に関わる自動車の自動車登録番号または識別できる記号、番号等
・確認の日時
・確認の方法アルコール検知器使用の有無 ※2022年10月1日から
対面でない場合は具体的方法
・酒気帯びの有無
・指示事項
・その他必要な事項

アルコール検知器の選定

2023年12月1日からのアルコールチェックはアルコール検知器による確認も必須になります。またその際、国家公安委員会が定めるアルコール検知器の使用が求められています。国家公安委員会が定めるアルコール検知器は酒気帯びの有無を音・色・数値等で確認できるものとされています。

常時有効に保持する

アルコール検知器は「常時有効に保持する」と定められています。「常時有効に保持」とは、故障なく検知器が正常に作動する状態で保持しておくことを指します。

アルコール検知センサーの違い

アルコール検知器のセンサーは大きく分けると「電気化学式(燃料電池式)センサー」と「半導体式ガスセンサー」の2種類です。それぞれメリット・デメリットがありますので、使用目的や環境などを考慮して適切に選択することが重要です。

電気化学式(燃料電池式)センサー

電気化学式(燃料電池式)センサーは呼気中に含まれるアルコールを燃料として電気を発生させ、その値を測定します。値が大きいほどアルコール濃度が高いことを示します。

メリット

・精度が非常に高い
・アルコール以外のガスに反応しにくい
・高耐久性

デメリット

・比較的に高価
・ほかの方式に比べ測定時間が長い

半導体式ガスセンサー

半導体式ガスセンサーはセンサー内部に組み込まれている半導体に呼気中の酸素が接触した際に生じる抵抗値の変化によってアルコール濃度を測定します。呼気中にアルコールなどが含まれ酸素濃度が低くなると、抵抗値も下がります。抵抗値が低いほどアルコール濃度が高いことを示します。

メリット

・比較的安価
・低濃度での感度が高い
・測定時間が短い

デメリット

・アルコール以外のガスにも反応しやすい
・環境の影響を受けやすい

据置型(設置型)と携帯型

アルコール検知器は据置型(設置型)携帯型の大きく2種類に分かれます。

KAOIRO+

据置型

耐久性やメンテナンス性に優れており、据置型(設置型)ということもあり不正がしにくく管理がしやすいのが特徴です。

デメリットとしては持ち運びするには不向き、また価格が高い点が挙げられます

携帯型

携帯型は比較的安価で購入できます。サイズは小さめのものが多く、持ち運びに便利なので営業所に戻ることが難しいドライバー等によく利用されています。
デメリットとしてはどこにでも持ち運びできるという特性上、不正につながりやすい点と測定結果の自動記録ができないものが多いことが挙げられます。

まとめ

自動車の運転は少しの気のゆるみが重大な事故につながります。飲酒は運転者の判断力を低下させる大変危険な行為です。重大なものになれば違反者に対する罰則のみならず企業の信頼を大きく傷つけることにもなります。2022年10月1日のアルコール検知器を利用した酒気帯び有無の確認の義務化に向けて、しっかりと製品を吟味し準備を万全に行いましょう。

<参考>
⇒ 安全運転管理者の業務の拡充|警察庁Webサイト (npa.go.jp)
⇒ 安全運転管理者等法定講習 警視庁 (tokyo.lg.jp)

お気軽にご相談ください。

お気軽にご相談ください。

042-795-1701

受付時間 10:00-17:00 [ 土日・祝日除く ]